公開講演會

年1回、経済?企業の専門家を招請し、今日的なテーマでもって公開講座を開催し、広く一般市民、學生の參加をえている。最近時に開催された研究會は次の通りである。

宮田 博文氏

宮田 博文氏

「やさしい気持ちがみらいをつくる ―人を信じ切る「心の経営」―」

日 時:2021年11月1日(月)16:40~18:10
講 師:宮田 博文氏

 「厳しい」「ブラック」と揶揄される運送業界で、子どもが描いた絵をラッピングしたトラックを走らせることを通して、運転士にも見る人にも心のゆとりを取り戻させることに取り組んでいる宮田運輸。この背景には、宮田社長の、數字に囚われる経営から、社員を信じる経営への転換がありました。今回、宮田社長のさまざまな取り組みに耳を傾けることを通して、皆さんとご一緒に企業の役割について改めて考えてみたいと思います。

藤井 美和氏

藤井 美和氏

「死ぬこと、生きること、働くこと:死を見つめることを通して働くことを考える」

日 時:2020年12月14日(月)16:40~18:10
講 師:藤井 美和氏

 コロナ禍において、私たちは様々な不安に直面しています。そして、このような不安の中において、私たちは改めて、生きること、そして働くことの意味について考えさせられています。「死生學」を専門とされている藤井先生をお招きし、死を見つめることを通して浮かび上がってくる生について語っていただき、皆さんとご一緒に働くことについて考えてみたいと思います。


新谷 優氏

新谷 優氏

「評価に囚われない働き方:REACTからACTへ」

日 時:2019年12月3日(火)16:40~18:10
講 師:新谷 優氏

 競爭が激しくなる現代、職場において、社會において私たちは評価にさらされています。このよう評価社會の流れの中で、生きずらさを感じておられないでしょうか。社會心理學の視點から、評価に囚われずに自 ら行動していく働き方、そして生き方について考えていきます。


奧山 睦氏

奧山 睦氏

「異業種交流と地域活性化:地域の幸福度から未來価値を考える」

日 時:2018年12月3日(水)15:00~16:30
講 師:奧山 睦氏

 日本経済の活性化には地域活性化が不可欠であると言われ、地元の中小企業同士の 異業種交流など様々な取り組みがなされているものの、これらの活動が成功していると は言いがたい現狀がある。 この地域活性化に必要な基盤は何であるのか、また地域の構成員の幸福度向上が、地 域活性化にどのような影響をもたらすのか。「幸福」をキーワードに異業種交流と地域活 性化について考える。


西 哲生氏

西 哲生氏

「魅力的な環境経営とは何か―持続可能な社會の実現を目指す企業が生き殘る―」

日 時:2017年12月6日(水)15:00~16:30
講 師:西 哲生氏

 12月6日、15時から企業研究所公開講演會が、中京大學名古屋キャンパス0704教室にて開催された。木枯らしの吹く寒い日であったが、近隣の方々をはじめ、院生、學生、教員などにお集まりいただき、活発な議論が行われた。
 講師の西哲生先生は、慶應義塾大學法學部政治學科卒業後、株式會社社會調査研究所(インテージ)入社、消費財や公共サービスに関するマーケティングリサーチの企畫?運営?分析業務に従事。株式會社グリーンマーケティング研究所に出向し地球溫暖化、資源循環などの環境問題に関する調査?計畫策定?事業開発業務に従事された。上智大學環境論講座ゲスト講師、神戸大學発達科學部人間環境學科非常勤講師、武蔵野大學人間関係學部(現工學部)環境システム學科非常勤講師などを歴任されている。株式會社インテージ退職後にソーシャルデザイン総合研究所を開設し、代表に就任された。東京工業大學社會理工學研究科価値システム専攻博士(學術)の學位を取得されている。
 講演會では、企業はどのように環境経営に取り組んできたのか、現在どのように取り組んでいるのか、また、今後はどうなるのかという3つのテーマでお話いただいた。
 最初に、1970年代の公害問題までさかのぼって環境経営の始まり、地球環境問題への転換について話された。1997年京都議定書の採択から始まり、溫対法や省エネ法の改正があった。ゴアの『不都合な真実』でマスコミも循環型社會のことを取り上げるようになった。2010年の生物多様性についての名古屋議定書に至ったそうである。循環型社會とはReduce(発生抑制)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)に加えて、Refuse(ゴミ拒否)、Repair(修理)の5Rであるということだ。
 続いて現在の企業の環境経営への取り組みについて話された。上場企業の68%が専門部署を設置していて、「資源やエネルギーの効率的な利用」「廃棄物の適正処理?リサイクル」を8割近くが実施しているという。これらについては、社會貢獻あるいは企業価値向上のための投資と考えられているという。グリーン電力を用いたアサヒビールや、「電車でECO MOVE」の名鉄、ランチパックのミミ利用の山崎製パンなどの環境経営の具體的事例が紹介された。
 最後に、これからの環境経営ついては、2015年のパリ協定に対応して電気自動車や再生可能エネルギーに注目すべきであるということが話された。特に中國の動向から目が離せないという。
 未來社會を生きるために不可欠な環境経営を、省エネというネガティブなとらえかたにはなく、ポジティブにとらえて、企業がその価値をアピールして、ビジネスチャンスを広げる魅力的な機會ととらえようという、積極的なご提案であった。
 質疑応答においても活発な議論が行われ、その後の懇親會でも話が盡きなかった。
(企業研究所所長 中西眞知子)


稲増 美佳子氏

稲増 美佳子氏

「VUCA時代に求められる経営」

日 時:2016年11月1日(火)15:00~16:30
講 師:稲増 美佳子氏

11月1日、15時から企業研究所公開講演會が、中京大學名古屋キャンパス、センタービル、山手ホールにて開催された
講師の稲増美佳子氏(ヒューマン?リソース?インスティテゥート代表取締役社長)はサンダーバード大學院で國際経営學修士號を取得、同グローバル?カウンシル?メンバーで、2005年からはビジネス?ブレークスルー大學院大學教授を務めている。著書も、『戦略構想力を鍛えるトレーニングマーケティング』とか、『マーケティング戦略策定シナリオ』、『リーダーシップのノウハウドゥ』、『人をあきらめない組織』、『マザーテレサ日々のことば』など多數である。
稲増氏は、現在は、VUCA時代であるという。不安定「volatility」、不確実性「uncertainty」、複雑「complexity」、曖昧模糊さ「ambiguity」のこの4つを合わせたVUCAということばの意味と、そういった時代におけるその経営について語る。
こういった時代には「そんな會社あり得るか」というぐらい指數関數的に飛躍するユニコーン企業が登場し、人間の知能の総和を超えるシンギュラリティが重要となる。経営者、技術者には野心的な変革目標が一番大事であるが、そのためには、內部の経営資源をどう活かすか、経営資源とその企業が力を出し合っていけるかが勝負だという。
最近、日本は、ベトナム、中國、チリ、バングラディシュ、ブラジル、インドネシア、ウクライナといった元気な新興國と比較して、相対的に地位が落ちていることが示される。また歐米と比較して受身であり、発信力が足りないことが指摘される。
が、伝統的に信頼を大切にして、「三方よし」の精神などを大切にしている日本には「希望」が持てるという。日本発信のSushi、Tofu、Kaizen、Keiretsu、Mottainai、Omotenashiなど、國際語として使われていることが指摘される。すしや豆腐などもヘルシーフードとして、世界標準となる。「おもてなし」や「我慢」「仕方がない」も外國人記者を感動させるコンセプトであるという。「シェア」「サステナビリティ」「CS」「ES」なども日本の社會が伝統的に有していたという。
稲増氏はVUCAワールドで勝ち抜いていく要件として、今、日本の経営者が、自分たちが持っている強味を、もう一回自分たちで気づいて、掘り出して、寶物を探して、改めて自分の會社は何のために存在しているかを問い直すことであるという。何のためにわれわれは存在しているのか、野心的な変革目標に変えることのできるものをイメージしよう、対話しようと未來へ向けて提案する。
先の見えないVUCA時代をどう生きるか、來るべき社會を展望して企業経営していくために力強い聲援を送られているようで、聴いていて希望が湧き、元気になれるご講演であった。
(企業研究所所長 中西眞知子)


白巖 千幸氏

白巖 千幸氏

「中國経済の見通し―2020年の中國―」

日 時:2015年11月19日(木)15:00~16:30
講 師:白巖 千幸氏

11月19日、15時から掲題の公開講演會が名古屋キャンパス、センタービル、ヤマテホールにて開催された。
講師の白石千幸氏(SMBC 日興証券投資情報部)は、ハーバード大學、ケネディ行政學大學院修了ののち、國連の開発機関や英國の投資銀行など、豊富な國際経験があり、わが國でも有數の中國経済の専門家である。去る8月の「チャイナ?ショック」以來、掲題のテーマがわが國においても衆目を引いていることもあり、一般市民の方々や金融関係者を含め例年を上回る聴き手を得ての開催となった。
白巖氏は、建國以來の経済政策、ならびに都市部?工業地帯と農村部という、二層連関を基軸とした従來の発展モデルを解説したうえで、労働需給にかかる「ルイスの転換點」の通過ならびに「就労人口比率」の構造的低下により、中國の経済成長率の逓減は避けられないとした。その一方で危懼されているような「バブル崩壊」ではなく、中央(共産黨)にコントロールされた経済発展は今後も続く(成長率はおおむね5年で1%ずつ減速)、と見る。
経済の大きな混亂と、その中で尖鋭化するであろう貧困層?農村部の不満こそは、共産黨支配にとっての最大の脅威であるから、なんとしても回避されるであろう、といった氏の説明、また経済発展の具體的新機軸として「中國製造 2025」などの紹介は中國の政情への造詣と人民銀行などへの豊富な実地ヒアリングをも反映した、情報的価値の高いものであった。
(企業研究所所長 由里宗之)


石渡裕氏

石渡裕氏

和田勝氏

和田勝氏

寺岡寛氏

寺岡寛氏

「中小企業運動と中小企業政策」

日 時:2014年10月23日(木)
講 師:
神奈川中小企業家同友會代表理事?石渡裕氏
愛知中小企業家同友會理事?政策委員長?和田勝氏
企業研究所、経営學部?寺岡寛教授

10月23日、掲題の公開ミニシンポジウムがヤマテホールにて開催された。例年この時期、外部講師による「公開講演會」を行うならわしであるが、本年は消費稅率引上げ後の中小企業現場の実態に関し異なった地域発で複眼的な視點からの議論を、との趣旨でシンポジウム形式としたものである。
寺岡寛教授(企業研究所、経営學部)のコーディネートのもと、神奈川中小企業家同友會代表理事の石渡裕氏(中小企業家同友會全國協議會の政策委員長)、および愛知中小企業家同友會理事?政策委員長の和田勝氏(同、政策副委員長)が登壇した。 両氏からは、同友會獨自の全國的な、また愛知県の中小企業の景況調査に基づく実態的報告がなされ、政府?日銀の言う消費稅率8%引き上げ後の景況V字回復は起こっておらず、むしろL字型の低迷が懸念される、との所見が示された。
しかしながら両氏は、消費稅率引上げさらには再引上げ(10%へ)という政策に対する苦言や反対の弁を続けるのではなく、中小企業家同友會の「自ら提案する」伝統に則り、どのような中小企業政策が今求められているのか(2010年閣議決定「中小企業憲章」の諸理念の政策的具現化など)、そのために同會がどのように動いているのか、理路整然と語り聴衆に訴えることに持ち時間の多くを費やされたことが印象的であった。
(企業研究所所長 由里宗之)


清水功哉氏

清水功哉氏

「デフレ脫卻は実現するか-日銀「異次元緩和」の狙いと威力」

日 時:2013年11月28日(木)
講 師:日本経済新聞編集委員?清水功哉氏

日本経済新聞社編集委員の清水功哉先生をお迎えして、新1號館172教室にて、講演會が行われた。 清水先生は、舊大蔵省と日銀を記者時代から継続して取材してこられた方である。約1時間余りにも及んだ講義は、かつての記者時代の地道な取材経験に基づいたエピソードをちりばめつつ、一般視聴者にもわかりやすく、根本的な問題のありかを示していただくものとなった。私自身が大いに勉強となったのみならず、アンケートを通じて、一般市民の方にも、真に印象深いものとなったことが確認できた。 講演の焦點となったのは三つの問題であった。一つ目は、現在の日本経済がこの20年近く引きずっているデフレという現象が、いかなる本質を有するのかという問題である。物の値段が下がるのは良いことのように思えるが、企業にとっては業績が上がらず、新規採用が控えられるために、若者に大きなしわ寄せが及ぶ點で、世代間格差を広げることになることが最も大きな問題であることを簡単明瞭に切れ味鋭く語られた。二つ目は、「異次元緩和」と呼ばれる金融政策が可能となったのは、舊大蔵省の主流ではなく國際金融畑を歩んでこられた黒田総裁を迎えたためであり、日銀の伝統的な政策ともいうべきインフレを第一に懸念するというアプローチを抑えることができたゆえであったという點である。三つ目に、現在の好景気によって消費が拡大しているといっても、都道府県別の消費拡大率において公共事業の集中する沖縄、および、円安効果でアジアからの観光客が集中する北海道が消費を引っ張っていることに象徴されるように、「戦後好況」期に見られたような三種の神器が大都會から消費を拡大していくという従來までのパターンとは、全く別の要因からの拡大であるという點であった。放送大學や企業研究所に関心を寄せる沢山の市民の參加が見られ、毎回このセミナーを楽しみに來てくださる方がいるという手応えを感じた、真に充実したセミナーであった。

城山智子氏

城山智子氏

「上海経済の170年-都市開発の問題を中心として-」

日 時:2012年11月8日(木)
講 師:一橋大學大學院経済學研究科教授?城山智子氏

11月8日、城山智子氏(一橋大學大學院経済學研究科教授)を招いて、公開講演會(論題「上海経済の170年」)が開催された。 論題はアヘン戦爭後の1842年、上海が開港されて今年が170年にあたることを示す。1978年からの中國のいわゆる改革開放から30年以上が経過し、この年月は中國が一時的に「閉じた」中華人民共和國成立(1949年)から1978年までに期間を超えたことになる。中國最大の経済都市、上海の変容が、國際的に開かれた戦前と1978年以降を対比的に論じられた。その際、戦前期は外灘を含む租界地區と1990年以降の黃浦江を挾んだ浦東地區とを対比され、とくに土地所有を焦點に分析され、1990年以降の歴史的特徴を浮かび上がらせた。戦前期の租界地區の制度は外國との不平等條約の結果として生まれのであるが、制度の運用の過程で、一種の慣例として租界の私的な土地所有権の安全性が確保された。その所有権は単に外國人に対してだけではなく、租界地區に移住してきた多くの中國人にも開放された。その上に土地を擔保にした金融機関からの不動産擔保金融が産業、企業の資金調達にも寄與したことが指摘された。これに対して改革開放後、さらに天安門事件以降、それまでの中小企業、郷鎮企業から國有企業が経済発展の主要な擔い手に躍り出てきた。その象徴が上海の浦東地區の摩天樓のような高層ビルディング、金融街であると指摘された。最後には最近の中國経済に関する話題書、『赤い資本主義』にも言及された。例年もまして市民の參加が多數を占め、興味ある講演に対して、會場から鋭い質問がなされ、盛會のうちに講演會を終えた。

奧村宏氏

奧村宏氏

「株式會社の危機」

日 時:2011年11月7日(月)
講 師:會社學研究家(商學博士)?奧村宏氏

企業研究所は「株式會社の危機」というテーマで在野の奧村宏氏に講演していただいた。奧村氏はまず3月11日の福島第一原発事故および事故処理を株式會社、東京電力の提起した問題として設定し、法人としての責任、株主としての責任、債権者=銀行としての責任という視點から、原子力損害支援機構の問題點が指摘された。つづいて、株式會社を歴史的に展開され、會社法確立期では株主有限責任の特異性が指摘され、巨大株式會社が形成される20世紀の変わり目では持ち株會社法=ニュージャージー州法が強調された。1970代以降は、規模の経済や範囲の経済の限界によって巨大株式會社の危機がはじまり、その危機を突破するために経済の金融化が進行しているとされた。最後に東京電力への対応策としては國有化ではなくその解體?再編が提起された。奧村氏の講演に対して、巨大株式會社の危機であっても株式會社の危機ではないのではないか?東京電力の問題は所有の問題ではなく獨占の問題ではないかいう質問、意見が出された。市民、學內の學生、教員など60名以上が出席し、熱心に聴講した。

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